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比喩表現や擬音語に着目した、効果的なコーチング技法

慶應義塾大学 修士

小竹珠利亜

一見、遠回りな伝え方が、
一番の近道だったりする。

私たちは、アスリートの保有するアナロジー(比喩表現)やオノマトペ(擬音語)に着目しています。
私は現在、陸上競技のコーチとして選手を指導する機会があります。指導の中で、言語化することの難しさ、自分の伝えようとしたことが上手く伝わらないもどかしさを感じることが多々あります。そのような中「重心が低く、腰の位置をもっと高くしてほしい」アスリートに対し、いくら私が「腰を高くして、重心を高くして」とアドバイスしても効果が見られなかったにも関わらず、日本のトップレベルで活躍していた元アスリートの指導者を招き「頭から糸で引っ張られているような感覚で」と指導を受けたところ、選手の動きが改善するという体験をしました。
これをきっかけに自身が現役時代、県の選抜合宿に参加した際にも日本記録保持者や世界を舞台に戦っていた元アスリートの指導者の方々に「地面に釘をまっすぐ打ち込むように」などといったアナロジーを用いてアドバイスを受けたこと、ハードリングの踏切で「”タタン”と踏み切って」というようなスポーツオノマトペを用いたアドバイスが感覚としてわかりやすく自分の中にスッと感覚が落とし込まれハードルの踏切が改善したことを思い出しました。アナロジーやオノマトペの効果を自身も体験しており、競技力の高いアスリートの身体感覚を別の競技者と共有することが出来れば、アスリートのパフォーマンス向上が期待出来るのではないかと考えたことがこの研究に至ったきっかけです。

先行研究においてもバスケットボールのフリースローの際に使用するアナロジーの効果が見られたり、オノマトペの役割について示唆されたり、アナロジーやオノマトペの効果については認められていながらも、アスリートの保有する身体感覚は未だ十分に収集されていません。そこで私たちのグループはアスリートの保有するアナロジーやオノマトペを収集しながら、最終的には指導の現場に還元できる形に落とし込んでいきたいと考えています。

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