HYPOTHESIS OF COACHING

\ コーチングの仮説 /

2023年
コーチング班のケース

「日本一」を掲げるヨット部において、レギュラーメンバー以外のモチベーションを上げるには?

〜活動内容〜

・全体目標:全日本インカレ総合優勝

・学年内訳:1年ー10人 2年ー17人 3年ー12人 4年ー12人 計51人

・練習頻度:通常週3日合宿 /長期オフ(夏休み、冬休み等) 週5日合宿

・練習時間:8時~17時+MTG3時間

・大会実績:2022年度関東春季インカレ準優勝、第87回全日本インカレ総合5位、2022年度春季東京6大学定期戦優

ライフスキルアンケート結果

弊ヨット部、東海林研究会所属部活、全国上位部活でライフスキルアンケートの比較を行った。この比較から、ヨット部では「感謝する心」が高いことが分かった。要因として考えられることは、ヨット部では、「礼儀、報告、時間厳守」という3原則のもと、日々の活動を行っていることである。部則もこの3原則が元となり作成している。我々の行動の根源となるものなので、部活生活に染み付いているからだと考える。 また、ヨット競技の特性が影響しているのではと考える。ヨットは自然を相手にするスポーツであり、風の強さや天候によって練習できない日が多くある。そういった中で、日々練習をすることできることに感謝を持っているからではないのかと考える。 こういった部則や、競技特性からヨット部の感謝する心のスキルが身についたのだと考える。

介入内容①

2ヶ月に渡る夏合宿に向けて、各自で「夏合宿になりたい自分像」を考えてもらう介入を行った。 スライド3枚程度で持ち時間は3分で発表できる内容にした。技術面に関してはあまりこの人物像には書かず、メンタル面、体調面、練習に取り組む姿勢等をメインにした。 また、各学年の役割を考え、どう振る舞うべきかについてもこのプレゼンに入れてもらった。 普段全体の場で発表するという機会はほとんどないため、自分の意気込みを伝えることは新しい取り組みとなった。

介入内容②

技術面においては、こちらの目標管理シートを用いるように介入した。各週ごとの短期目標、1ヶ月ごとの中期、夏合宿を通しての長期目標を全部員対象に作成してもらった。 各週ごとに立てた目標をメンターごとで振り返る時間を部活動の1日の流れに取り入れ、振り返りの形骸化を防いだ。左の写真はメンターで各週の目標に関して振り返りをしているものである。 目標を立てる際も上級生メンターが手伝い、今回ターゲットにしている下級生レギュラー外の目標管理スキルを向上させていく仕組みにした。

アルティメットフリスビー

~背景~

・全体目標ー2023年全国学生選手権本戦出場

・学年比率ー1年ー15人 2年ー8人 3年ー3人 4年ー7人

・練習頻度ー週4日、9時ー14時

・成績ー2021全国学生選手権本戦出場(全国10位)、2022東京リーグ優勝、2022全国学生選手権予選敗退

ライフスキルアンケート比較

2023年全国学生選手権本戦出場を目指すに当たって、我々のチームではまず課題を明確化する必要があった。その一環として部員全員にライフスキルアンケートを回答してもらった結果、左の図の通り、全国上位部活平均と比べても目標設定の項目の数値が低いことがわかった。目標設定とは目標を達成するための計画を具体的に立てていることはもちろん、紙に書き込んだり、定期的に振り返りをしていることを指す。この目標設定の能力が下級生の中で特に低いことが明確になり、モチベーション低下などにも同時に影響していると考え、メンター制度というものを導入した。

介入事例

メンター制度とは、上級生と下級生がペアになり、毎練習前、練習後にその日の目標や反省などを行い目標設定を上げる試作である。上記に加え、定期的にプライベートの時間を設け、長期目標の確認やアルティメット以外の悩み相談なども行ったりもする。このような時間を設けることによって選手の現状を把握するとともにモチベーション向上同時に行っている。前回の練習ででた課題などの反省を元にその日の目標をたて、毎回練習に挑んでいる。

介入内容

ホワイトボードを使用し、毎練習前、練習後に目標や反省点を書き出すようにしている。このように毎回書き出すことによって、写真で振り返れるとともに頭の中で整理することができる。その後、全体ミーティングで先ほどメンターで共有した反省をチームに発信する時間を設けている。このように選手自身がアウトプットし、言語化することによってより反省の質をあげている。

スキー部 (オフシーズン、モチベーション維持の取り組み)

~背景~

・全体目標:インカレ1部、男子総合3位、女子総合4位

・学年内訳:1年-4人、2年-4人、3年-4人、4年-5人

・部門:アルペン-12人、ジャンプ-2人、マネージャー-3人(計17人)

・練習頻度:朝練習(週5日)、冬季は各個人で活動

・成績:第95回全日本学生スキー選手権大会-1部4位、第96回全日本学生スキー選手権大会-1部4位

ライフスキルアンケート比較

塾スキー部、東海林研究会所属部活、全国上位部活でライフスキルアンケートの比較を行った。この比較からスキー部は全体的に高い数値であることがわかった。逆に目標設定と体調管理が低いということも分かった。まず数値が高かったことの要因としては、スキー部は少人数かつ部の8割は全国入賞レベルの選手である。そのことから安定して高水準であったのかと考える。低かった部分の要因としては、冬季種目であるため夏場のモチベーション維持がどうしても難しいことが考えられる。体調管理に関しては大学生になってから下田寮での一人暮らしかつ自炊を行いその点体調管理に落ち度が出ているのではないかと考える。

スキー部の夏は、陸上での練習が主となっており、何のための練習かを理解できていない人も多い。そこで、

介入事例1

スキー部の夏は、陸上での練習が主となっており、何のための練習かを理解できていない人も多い。そこで、

・毎練習時にメニューを発表するがその意図を伝える

・慣れてくるにつれ、練習の意図をランダムで回答してもらう

ただ取り組むよりも目的・目標を提示することで目標設定に対する取り組みが可能になると考える。

介入事例2

長期、中期目標を各個人で設定し全体での決意表明を行った。どんな自分になりたいのかその過程ではどのようなことをしなくてはならないかを部員の前で話すことにより、自分を見つめ直しさらには有言実行を期待している。意識づけとして月に一度目標に対する達成度の確認を行った。

競技SUP

~背景~

全体目標:全日本学生SUP選手権 総合優勝

学年比率:1年目11人 2年目10人 3年目6人

練習頻度:月4回のチーム練+自主練

成績:2022年度全日本学生SUP選手権 総合優勝

2023年度全日本学生SUP連盟団体戦競技会 準優勝

 

ライフスキルアンケート比較
弊慶應SUP、東海林研究会所属部活、全国上位部活でライフスキルアンケートの比較を行った。
この比較から、慶應SUPは10項目中6項目で最低の水準となった。
これはサークルという組織の形であること、組成されて10年ほどの組織でありチーム運営の基礎が出来上がっていないことが要因として考えられる。
一方で、「責任ある行動」、「考える力」の項目においては、高水準の結果を示した。
前者は水上のスポーツであることから、普段から安全管理や用具の管理等が徹底されていることが起因していると考えられる。後者は、マイナースポーツであり日々の練習で、競技レベル向上のために思考しながら練習に取り組んでいるためと考えられる。

競技SUPはマイナースポーツかつ新興スポーツであり、特に大学スポーツとしての環境は10年程の歴史しかない。そのため、学生連盟の参画チーム数や全日本選手権の規模が他の大学スポーツと比較して小さいという現状がある。
そのため、慶應スタンドアップパドルクラブでは、高い競技力、競争力を伴った目標設定がなされていないという課題があった。
実際に、ライフスキルアンケートでも他の組織に比べて目標設定の値が低くなっていた。
特に、大会や学生生活全体を見据えた長期的な目標の設定や、目標とそれに対する成果の評価や振り返りが不十分であると考え、それに対する施策の介入を行った。

介入事例①
マンダラートとは
活動の長期的な大きな目標と、その目標を達成するための8つの中目標、また中目標のために実行する行動を8つずつ設定するものである。
慶應SUPでは、月に一度の中期的な目標設定の取り組みは行ってきたが、競技生活を見通す長期的な目標設定の機会がなかった。そのため、長期的な目標設定実施の取り組みとして、マンダラートを導入した。
このマンダラートは、月ごとに目標に対する成果を5段階で評価し記入する、振り返りスコアとその変化を記すグラフも確認できる。
介入事例②
クルー制度とは
チーム内で5人ほどのクルーを組成し、月1回のクルーmtgで月間の練習や、目標に対する成果の振り返りや次月の目標設定を行う。
目標と成果の振り返り、再設定を行う取り組みとして、このクルー制度を導入した。
また、介入内容①のマンダラートの設定、振り返り、共有を行う場としても活用する。
常に自分の活動の様子を共有、また監視する枠組みを作ることで、より客観的に活動を振り返り、目標設定を形骸化させないための取り組みとして行う。

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